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「幸福」
※性表現が有ります

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「明日、そっちで会議があるだろ?帰りに時間あったら君の家に寄っていくよ」
アメリカは一方的に電話でそう言った。そうすると、イギリスは明後日の朝まで食事抜きになるのだった。アメリカはそんなこと知らないだろう。イギリスがそのことを黙っているからだ。

アメリカとイギリスは、所謂セフレだった。ベッドに誘ったのはイギリスだが、何となくのきっかけを作ったのはアメリカだ。イギリスはアメリカが好きだった。アメリカはイギリスの事をただのセフレとしか思っていない。だが、イギリスはそれで良かった。アメリカにこの思いを伝えるつもりははじめからなかった。この愛が相愛になるはずもないとわかっていたから。
だから、肉体だけでも繋がっていられる事に感謝しようと努めていた。

アメリカが明日来るとわかったときから、イギリスは忙しくなる。
まずは家中をぴかぴかに掃除した。とはいえ、もともとそんなに散らかす質でもなかったので掃除はすぐに終わる。それから、アメリカが裸でどこを歩いても良いように、念入りに床を磨いた。
家中がきれいになると、今度は慌ててバスルームにこもり、身体を外も中も洗った。中を洗浄するのは時間がかかって面倒くさく、イギリスが一番きらいな作業だったが、アメリカのためだ。一度では完全にきれいにならないから、明日の朝、もう一度、やらなければならない。
せっかく中を洗浄したのに、食事をすれば消化してしまうのは生き物としての摂理だった。少しでも排泄物が体内に残っていると、セックスの時にアメリカの美しいペニスを汚してしまう。それが恐ろしくて、イギリスは夕飯を食べなかった。空腹だったがアメリカのためだ。イギリスは紅茶を沢山飲んで、明日の会議の資料を読んで、寝た。

翌朝起きて、イギリスはまた何も食べずにバスルームにこもり、体内を洗浄した。これで完璧のはずだ。体内がきれいになったあとは、今したことの次にきらいな作業をした。アナルに念入りに潤滑油を塗り込む作業だった。女性器のように勝手に濡れないそこは、潤滑油の力を借りなければ挿入だってままならない。だから、あらかじめ塗っておく。会議の前か直後にアメリカがイギリスを求めてくるかも知れないし、そうでなくても夜ベッドの中でもたついて、アメリカを苛々させないためだった。
「なんだ、男なんてめんどくさいな」と思われたら、イギリスはきっと抱かれなくなってしまう。
こんな状態で会議に出るのは本当にいやだったが、これもアメリカのためだ。潤滑剤を大量に塗り込まれた尻の湿った感覚がぞっとするほど不快で、鳥肌が立ちっぱなしになった。

イギリスが女に勝てることといったら、女のあそこより締まりがいいことと、生でやって中で出しても子供ができないことくらいしかなかった。容姿だってとりわけ美しくもないし、抱き心地の良い体というわけでもない。アメリカは元々ノーマルだったから、今はたまたま気まぐれでバイぶってるだけなのだろうとイギリスは思っている。ある日突然イギリスとのセックスに飽きて「やっぱり女とする方がいい」といつ言われてもおかしくないのだ。だから、できるだけイギリスは飽きられる日を先延ばしに出来るように、アメリカのために何でもした。アメリカがいつ「その気」になってもいいように、イギリスは常に体を準備しておいた。
そしてそんな自分の努力を絶対アメリカには悟られないようにした。さもイギリスは昔から淫売で、男のくせに勝手に尻が濡れてくるようなエロ大使だと思わせることで、「アメリカのため」だという鬱陶しさを感じさせないように努力した。
それくらいしかイギリスには思いつかなかった。

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狭い個室のトイレに、二人の荒い息が響いている。
イギリスの予測はあたり、アメリカは会議の直後にイギリスを待ち伏せ、さっきまで会議の行われていたホテルのトイレに連れ込み、イギリスの家に向かうのも時間がもったいないとばかり、アメリカはいきなり二人のスーツの下をずりおろした。むき出しになったアメリカのペニスは恐ろしいほど大きく固くなっていた。理由はわからないが、アメリカは酷く興奮しているようだった。
「後ろ向いて」
アメリカは短くそう言い、イギリスの体をひっくり返す。顔が見たかったな。とイギリスは思ったが、口には出さない。壁に手を突くように指示され、尻を突き出した。雑な手つきでアメリカがイギリスの下腹を撫で回す。
「すごいね…君のここ」
アメリカがイギリスの尻に指を突っ込みながら笑った。そこが濡れているからだ。イギリスは羞恥に顔を真っ赤にしながらも何も言い返さなかった。
挿入の準備が出来ていると勘違いしているアメリカは、慣らしもせずにイギリスにペニスを突き立てた。イギリスにしてみれば、そこは人工的に濡れているだけでまだ広がっているわけではない。痛みが無いわけではないのだ。しかし、痛いと叫べばやはり「めんどくさいな」と思われそうで、イギリスは歯を食いしばって悲鳴をこらえた。ぐいぐいとアメリカが這入ってくる。イギリスの目尻には苦痛の涙が浮かんだが、後背位のため顔が見えないのが幸いだった。
アメリカの全部が中に入ったと思ったとたん、乱暴に突き上げられ、今度こそイギリスは声を耐えられなくなった。痛いからそっと動いて欲しい、とイギリスは思ったが、口から出るのは甘える子犬のような高い鳴き声ばかりで、アメリカには嬌声にしか聞こえないことだろう。
「すごい、締め付けすぎだぞ…もう少し力抜いてくれよ…っ」
「うっ、あぁっ…」
イギリスは一生懸命に痛みをやり過ごし、力を抜くように努力した。成功して、少しばかり抜き差しが楽になってくる。
…そうしてしばらくアメリカの動きに合わせていると、少しずつ、気持ちよくなってくるのだ。
先ほどから、アメリカのペニスがごりごりと前立腺のあたりを刺激している。イギリスは痛みではなく涙をこぼした。アメリカが自分を犯している現実に感動を憶え始める。
あの、アメリカが。自分の中で性欲を処理している。他の誰でもない、この俺の中で!
イギリスの脳内に猛烈に快感が駆けめぐる。アメリカ、気持ちいい、アメリカ!と、大きな声が出てしまう。
アメリカはぎょっとしてイギリスの口を大きな手で塞いだ。
アメリカの手の中でイギリスはくぐもった声を上げ、涙をこぼしてよがった。
動きがさらに激しくなった。下からの突き上げのたび、イギリスの足が宙に浮きそうになる。
繋がったところからとんでもない音が聞こえている。すごく濡れているのがわかる。アメリカがイギリスの腰を跡が残るくらい強く引き寄せた。限界が近いのだろう。イギリスが首だけを回して振り返ると、アメリカは眉を寄せ、目をぎゅっと閉じて、口を大きく開けて呼吸をし、快楽に没頭していた。追い詰められた獣のような顔をしていた。
可愛い顔だな、と、イギリスは思う。
好きだ、アメリカ。愛している。お前に抱かれて俺は幸せだ!
そう思った次の瞬間、がつんと音がしそうなほど一気に深くまでペニスを突き入れられ、体の奥に精液をぶちまけられた。
「うあぁっ…すげえ、アメリカ…」
体の奥が生暖かい液体に濡れる感触にイギリスは震え、自分で自分のペニスをしごきあげてイギリスも達した。

しばらく身じろぐことも出来ず、二人とも荒い息をついたままぐったりとしていると、アメリカの携帯電話が鳴った。アメリカは苛立たしげに携帯をジャケットから取り出すと、イギリスの中から性器を引き抜き、その刺激にびくびくと震えるイギリスを横目に通話ボタンを押した。
「ああ、君か。なんだい…?」
アメリカはすっかり平素の声に戻り、乱れたスーツを元通りに整えていく。どうやら仕事の話で、込み入った状況のようだった。
「うーん…口頭じゃ埒があかないね。いいよ。今すぐオフィスに戻る」
その言葉にイギリスの目の前は暗くなる。アメリカが帰ってしまう!
パタンと携帯を閉じたアメリカはもう、すっかり身支度も調え、いつもの顔に戻っていた。
「悪いけど、今すぐ仕事でNYに戻らなくちゃならないんだ。約束してたのにごめん」
「…いや、謝る必要はない。仕事に戻れ。どうせお前なんか泊めるのは面倒だったんだ」
「そうかい」
「ああ、そうさ。せいせいする」
「わかったよ。じゃあね」
いつものひねくれた言い回しにアメリカはうんざりと返事をし、個室のトイレを出て行ってしまった。 まだ足下にズボンやら下着やらをたごませた状態で下半身を濡らしたままのイギリスは、呆然とトイレの壁にもたれかかっている。

…帰らなくては。

しばらく身動きも取れないほど疲労していたイギリスだったが、のろのろとトイレットペーパーで下腹をぬぐうと、スーツを整え、トイレの鏡に向かって身なりを整えると、外見上は何事も無かったかのようにホテルを出てタクシーを拾った。

家に戻ると、床も壁もぴかぴかに磨かれた自分の部屋が待っていた。
アメリカを受け入れるために昨日一日かけて磨いたものだった。
そしてイギリスは猛烈に腹が減っていた。
昨日の晩から何も食べていないのだ。

イギリスは今晩アメリカに振る舞うはずだったローストチキンを一人で食べた。
尻の奥はまだアメリカが入っているようにじくじくと痛んだ。
イギリスはそれだけで幸せだった。

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(2009/08/29)
殺伐とした話になった。。。言いなりになっちゃうイギが書きたかっただけなのだが。

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